WordPressマルチサイトでのUpload/URL Path問題

（初出： FLAMA技術ブログ 2017/2/27）

• WordPress 4.7.2
  • マルチサイト
  • 3.5以前から運用
• 2017-02現在

はじめに

• https://codex.wordpress.org/Multisite_Network_Administration#Uploaded_File_Path

Regardless of WP version, these locations cannot be changed by site admins. Only the network admin can make changes on the site settings page.

(WPのバージョンにかかわらず、これらの場所（注：PATHとURL）はサイト管理者が変更することはできない。ネットワーク管理者は管理画面から変更が可能である)

しかし’Upload path’と’Upload Url path’は無効でありかつ／または自動的に変更されています。これはなぜで、何が起きているのでしょうか？

要素

1. バグ #25819
   • WPを3.5にアップデートする際、ms_files_rewritingが作成されませんでした。
2. ms_files_rewriting
   • この値が “1” の場合、管理画面で設定した値は無効となります。
3. db_version と wp-includes/upgrade.php
   • db_versionが “21823” 以下の場合、”1″ が設定されます（wp-includes/upgrade.phpによる）。
   • WPのアップデートはしていたのですが、db_versionは更新されていませんでした。この問題には他の条件やパターンが影響している模様です。
4. wp-includes/ms-default-contstants.php
   • ms_files_rewritingが*_optionsor*_sitemetaテーブルに存在しない場合、”1″ が設定されます。
   • ms_files_rewritingはアップロード関連の定数を設定するのに使用されます。
     例）UPLOADBLOGSDIR、UPLOADS、BLOGUPLOADDIR
5. wp-includes/functions.php
   • アップロードPATHやURLを設定するのにms_files_rewritingが使用されます。
6. upload_path
   • アップロード先を指定する変数です。
   • 3.5で廃止されています。

条件とパターン

条件とパターンが結構存在する模様です。
（間違っていたらすみません）

ありうる選択肢

• パターン#1: オリジナルのまま使用する
  • やるべきこと:
  • 無し
  • 結果:
  • アップロード先 = ‘wp-content/blogs.dir/(blog_id)/files’
  • URL = (site url) +’/(blog name)/files’
  • 注意事項:
  • ‘Upload path’、’Upload Url path’は無効になります。
• パターン#2: 管理画面の値を使用する
  • やるべきこと:
  • *_optionsテーブルにms_files_rewritingを追加しoption_valueを “0” に設定
  • db_versionを最新版に設定
  • 結果:
  • アップロード先 = ‘Upload path’ + ‘sites/(blog_id)’
  • URL = ‘Upload Url path’ + ‘sites/(blog_id)’
  • 注意事項:
  • ‘Upload path’、’Upload Url path’は使用されますが、文字列が追加されます
• パターン#3: 定数UPLOADSを使用する
  • やるべきこと:
  • *_optionsテーブルにms_files_rewritingを追加しoption_valueを “0” に設定
  • db_versionを最新版に設定
  • 定数UPLOADSを設定
  • 結果:
  • アップロード先 = UPLOADS + ‘sites/(blog_id)’
  • URL = (site url) + UPLOADS + ‘sites/(blog_id)’
  • 注意事項:
  • ‘Upload path’、’Upload Url path’は無効になります。

Q. なぜ定数UPLOADBLOGSDIRを使用しないのですか？
A. ms_files_rewritingが “0” に設定されている場合は無視されるためです。

各パターンの問題

パターン#1にある既存の問題

• このパターンはレガシーで複雑な互換性を残すことになります。
  これは運用を続ける場合には危険要素となりそうです。

パターン#2で発生しうる問題

• ‘Upload path’、 ‘Upload Url path’が将来廃止される可能性が無いとは言い切れません。非マルチサイトでは既に廃止されているためです。

パターン#3によって生じる問題

• (site url)が “/foo/”、(blog_id) が “2”、UPLOADS が “bar” と設定されている場合に、URLは “/foo/bar/sites/2/YYYY/MM/*” となるはずです。
  しかし既存の記事内のURLは “/foo/files/YYYY/MM/*” となっているはずです。

結論

• 将来的なトラブルを回避する方が良いので、パターン#3を選択しました。
• 既存の画像ファイルは全て “/foo/files/*” から “/foo/bar/sites/2/*” にコピーしなければなりません。
• 既存の記事内のURLについては、RewriteRuleで解決することにしました。
  • 例） RewriteRule ^/foo/files(.*?)$ /foo/bar/sites/2$1 [R=301,L]
  • または wp-cli を使うことになるかと思います。