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もう「Androidは申請すればすぐ通る」とはいえない

2024-04-30

以前はよく「Androidは申請すればすぐ通るが、iOSは時間がかかる」と言われていました。
しかし2024年現在では、そのような前提が通用しなくなってきているようです。

弊社ではiOS・Androidにて「おしりたんてい」シリーズを公開しています。
今回、これらのアップデートを行った際に発生した問題を通して、Androidの審査の変化についてまとめてみたいと思います。

まず、シリーズのAndroid版がリリースされたのは2016年のことです。
(iOS版はもっと前にリリースされていました)
このバージョンはAdobe Airを使用して開発されており、さすがにそろそろ最新の技術で改修する必要がありました。
(この件は別途記事にしたいと考えています)

ところが、途中でGooglePlayのアプリ署名の方式が変わったこともあり、それまで使用していた署名鍵が使用できなくなっていました。
となると新たなアプリとして新規申請しなければならないわけですが、この点、冒頭のように、さほど障壁とは考えずに手続きを進めたのです。

問題1:「既存コンテンツを盗用している」と判断された件
この時点では、新規申請すると同時に、今まで入れていなかった広告を入れようとしていたのですが、広告を入れてテストしている段階で、AdMobのアカウントがBANされました。
なおこのBANについては結局解決していません。
(この件についてはまた別途記事にしたいと考えています)
警告を見る限りでは、既存コンテンツを盗用していると判断されたようです。
もちろん誤解です。「おしりたんてい」はトロルさんと弊社がアプリをリリースすることによって始まった(その後絵本やアニメへ)というコンテンツです。
とりあえず広告を入れることを断念し、リリースを優先させることとしました。

問題2:「規約に反して広告機能が使用されている」と判断された件
広告を削除し、申請時の提出データに「広告無し」としたにもかかわらず、
「広告が使用されているため即時対処しなければGooglePlayアカウント削除の可能性もある」との警告を受けました。
ソースコード内に広告IDが残っているのか?と精査しましたが、存在しません。
結局この問題は、奥付(本の裏表紙前の最後のページ)に、作者のトロルさんからの紙の絵本の告知がされている点を指しているのでは?と気付き、削除したところ警告が解除されました。
ただし別の警告がまだ続きます。

問題3:「性的コンテンツである」と判断された件
ご存知の通り「おしりたんてい」は子供向けコンテンツです。
しかもこの時点でIARCレーティングは全年齢でパスしています。
この指摘には過去一番困惑しました。コンテンツ全体を指してそう判断されているのであれば、Android版はリリースできないことになってしまいます。
いたしかたなく、年齢制限を「18歳以上」とし、未成年にふさわしくないコンテンツとしてGooglePlayで掲載されることを許容する判断をしました。
また、レーティングによる影響を受けたくないので、リリース地域を日本のみとしました。

問題4:「レーティング違反である」と判断された件
この件の問題箇所を発見するのには、最も時間を要しました…。
結論から言えばこの問題は、「GooglePlayの『アプリのコンテンツ』>『コンテンツのレーティング』ページでの申請内容とアプリの内容に相違がある」という文意になります。
かつこの「相違」というのが何なのか、非常にわかりづらい仕組みになっているのです。
このぺージでは「(略)レーティングに関連するコンテンツ (性、暴力、言葉など) が含まれていますか?」という質問事項があります。
我々としては当初、おならが「性、暴力、言葉など」に含まれるという認識がありませんでしたので、「いいえ」を選択していたわけです。
ところが、ここで「はい」を選択することで初めて「性、暴力、言葉など」の具体的な内容が判明するというUIになっているのです。(このUIは本当にどうかと思う)
その結果、「げっぷ、おなら、嘔吐など生理現象を利用した笑いの要素」が「下品なユーモア」と定義されていることが判明しました。
つまり、先にIARCなどのレーティングを受けてバッジを取得していたわけですが、
Googleから見て、我々が虚偽申告をしてレーティングバッジを得ようとした、という図になるわけですね。
そしてこの時点で、リリース地域を絞ったことはあまり意味がなかったことも判明しました。

・・・

結果として、Android版は
– iOS版とはコンテンツが異なる
– 18歳以上のみ対象
という形でのリリースにならざるを得ませんでした。

一連の対応は、リリース完了までにかなりの時間を要し、経験者が何人も頭を悩ませてやっと終結に至ったものとなりました。

いかがでしたでしょうか。
「Androidはすぐ通る」とはいえないことがある、という一例として、どなたかのお役に立てれば幸いです。